下鴨神社の参道沿いにある築約40年の木造2階建て住宅のリノベーションである。表は林のような公園、裏は鴨川という絶好のロケーションに建ち、地下物置とロフトがあったので空間は上下方向に広がる可能性を持っていた。
そこで、地階からロフトまでの4層を開放し、内部空間を林側と川側とに大きく分割する斜めの耐力壁を挿入することを構想した。林側は、迫るような斜めの壁によって仄暗い篭るような空間となり、寝室や書斎、趣味のための土間スペースなど、個々人が没頭する機能を配した。川側は、上に広がる斜めの壁と東面からの自然光により上昇感のある明るい空間となり、キッチンやダイニング、リビングなど家族が集まる機能を配した。
林側と川側の1階と2階、地下とロフト、それぞれの床レベルを少しずつ変えている。また、各床と斜めの壁は部分的に少しだけ離している。このような断面方向と平面方向にできたささやか隙間が、立体的に配した各空間をつなげ、また、それぞれの仄暗さや明るさを隣の空間に染み出させる。そして、斜めの壁を螺旋のように上下してコントラストある空間を行き来することで、いくつもの小さな空間の集合を楽しむ住宅となっている。 |