京都と奈良の県境にある京都府精華町の築100年以上の古民家の再生・改修計画である。夫婦と子ども2人で営む、おおらかな「田舎暮らし」のための住宅。
建築主の要望は「古民家の風情は残しながらも、現代的で開放的な空間に住みたい」ということであった。そこで、古民家の力強い骨格を残しながらプランを平面的にも断面的にも一度開放し、その中に新たな白いソリッドな「建築」を置くというイメージを描いた。
既存の力強い建築の骨格と、挿入された新たな「建築」との間に、様々な空間が生み出されていく。民家の典型的な「田」字型プランは、回遊性のある「回」字型プランへと変化し、「平面的」な民家は「立体的」な新しい開放的な住まいへと、更新される。
民家の骨格は、白い「建築」を背景に浮かび上がり、強調され、歴史を雄弁に誇示している。そして、新しい家族が住まうことで、民家の歴史は引き継がれていく。 |