ニコは、片目を病気で失い野良として彷徨っていたところを拾われ、デッキを中心に飼われている猫である。
ニコ・ビルはその猫(=ニコ)の住まいとしてデザインしている。ニコ・ビルは3つの箱を積み重ねた構成で、箱と箱のあいだにはズレや隙間がある。それらの各寸法は、ニコの身体スケールや運動能力、習性などを観察することにより決定されている。
飛び乗る、よじ登る、くぐりぬける、身を隠す、籠る、のぞき見る、眺望する、爪をとぐ。それらの行為を、積み重ねた3つの箱に集約した。
住まい手であるニコは、デザインした以上に空間と身体のあり方を、ニコ・ビルで発見している。春夏秋冬、気候が変わりニコの身体が変化していくことで、日々ニコはニコ・ビルを発見し続けていくだろう。
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