本案は高層マンションの一室を想定したインテリアのスタディ(習作)である。
ワンフロアの中に「家具でできた壁」を配置し、キッチンや書斎、収納、空調など、そこに応じた機能を内包させる。家具の配置によって生まれる「おれる」、家具に空けられた穴による「くぐる」、床のレベル差よって生まれる「あがる」という動作は、空間をゆるやかに分断し、さらに家具の配置による動線や視線の見え隠れを制御することで、住空間に奥行きをもたらしている。
同時に、天井と家具との間のあき、家具同士の間に設けられたスリットを介して、光、音、においなどの微細な気配を伝えることで、空間同士がゆるやかにつながる。
住居の最奥部にある書斎は現代の瞑想部屋といえる。
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