築約120年の京町家の2階部分を改装し、バーとスタジオ機能を併せ持つ「bar/studio 祇園舎」をつくった。
僧侶でありメディアプロデューサーという2つの顔を持つオーナーが運営する。夜は僧侶たちがバーテンダーとなるバーで、昼は仏教に関する講話や日本の伝統音楽のライヴパフォーマンスの収録や発信を行うスタジオとなる。
緩やかにカーブする土壁を店内に配し、空間をやわらかく包み込む。また、町家の通し柱を軸に配したヒノキの塊で出来た2枚のバーカウンターは、リズムと中心を与えながら空間を引き締めている。
床・壁・天井は、既存町家室内の上に直接防音性能の高い材で仕上げた。天井の一部を掘り上げ、バーとスタジオのための2種類の照明を始めケーブルやスピーカーなどを設置するスペースとなっている。
バーのための染み入るような空間と、スタジオのための随所に巡らせた仕掛けが併存している。世界規模で感染症が拡大した2020年、文化の継承と発信を同時に行う新しい試みとしてスタートした店舗である。 |